中古車販売店の独立で成功するポイントを解説

2023.12.26

中古車販売店の独立はだれでもできる?

独立開業のなかでも、中古車販売店の独立は比較的簡単にはじめられるビジネスといわれていますが、具体的には、どのような資格や手続きが必要になるのでしょうか。

実際に中古車販売店の独立に必要な資格と業務内容について調べてみました。

中古車販売店の独立に必要な資格は2つだけ

中古車販売店の独立開業をするために必要な資格は次の2つが必要になります。

古物商許可証

古物商許可証とは、古物営業法に基づいて発行されるもので、日本で古物の販売や取引を行う業者が取得するための許可証です。

古物といえば古い家具、骨董品、美術品、古書などをイメージする方も多いと思いますが、一度使用や登録、届出がされた物品を販売する場合は、その取扱いする商品すべてが古物にとして扱われます。

つまり、新古車や未使用車を含めて中古車も古物に分類されます。

日本国内で古物を販売するためには古物商許可の資格が必要で、古物商許可がない状態で中古品を売買すると、古物営業法違反として懲役3年以下または100万円以下の罰金刑が科されることがあります。

古物商許可証は、個人でも法人でも取得することが可能で、店舗の所在地を管轄する警察署で申請手続きを行うことができます。

参考:警視庁「古物商許可申請をされる方へ」

自動車リサイクル法引取業登録

自動車リサイクル法引取業登録は、日本の自動車リサイクル法に基づくものです。この法律は、自動車のリサイクルや廃車に関する基準を定め、環境への影響を最小限に抑えることを目的としています。

自動車リサイクル法において、「引取業者」とは、廃車される自動車を引き取り、リサイクルプロセスに回す業者を指します。これらの業者は特定の要件を満たし、法令に基づいて登録を受ける必要があります。

自動車リサイクル法引取業の登録をするためには、一定の基準を満たしたうえで手続きを行う必要があります。

具体的な要件や手続きについては、自動車リサイクル法や関連する法令を確認するか、地元の自動車局などの関連機関に問い合わせることが重要です。

中古車販売店の主な業務

中古車販売店の業務は、中古車を商品として実際に販売することのほかにも、販売するために準備することや、販売した後の対応など様々な業務を行う必要があります。

その中でも特に欠かせないことは、主に次の業務です。

中古車の仕入れ

オートオークションや中古車販売店同士の業販のほか、ユーザーからの車買取などから中古車を仕入れます。

中古車の仕入れは、車の状態や市場価格を調査して、適切な価格で仕入れを行うことが重要です。

中古車の整備・点検・仕上げ

仕入れた中古車の、整備・点検を行い、販売可能な状態にします。

外装や内装の仕上げもしっかり行って、商品としての価値を高めます。

中古車の販売

店頭やインターネットを介して商品となる中古車を販売します。

交渉や商談も行いますが、顧客のニーズを聞き出すことでより良い提案を行ことができます。

保険代理業務やその他の業務

自動車保険の代理店業務やオートローンの取り扱いなど、中古車販売に関連する様々な業務を行います。

アフターサービス

車検や修理などのアフターサービスを提供します。

販売後も顧客に対するサポートを行うことで信頼関係を築き、リピーターを獲得することが重要です。

中古車販売店として独立するメリット

中古車販売店として独立するメリットとしては、主に次の点があげられます。

専門的な資格がなくても開業できる

中古車販売店として独立するメリットとしては、専門的な資格がなくても開業できるという点があります。

自動車を扱うため運転免許は必須になりますが、それ以外で必ず必要な資格は先ほど紹介した古物商許可証と自動車リサイクル法引取業登録があれば、個人でも中古車販売店として開業することが可能です。

事業が成功すれば高収入も可能

中古車販売業は商品の単価が高いことから、高収入が狙いやすいこともメリットと言えます。

一般的な商品を取り扱う小売店や飲食店と比較すると、1台当たりの粗利益も高額であることから、適切な経営をすれば十分な利益を上げることが可能です。

自分のやりたい事業ができる

中古車販売店として独立すれば、自分の裁量で事業や店を経営することができます。

会社の上司や先輩からの指示で仕事するのではなく、方針やスケジュールを含めて事業に関することは自分でやりたいことを自由に決めることができます。

やりがいを感じる

中古車販売は、人と接することが好きな人にとって、やりがいのある仕事です。

お客様のニーズを理解し、最適な中古車を紹介することで、お客様に喜んでもらうことができます。

中古車販売店独立するデメリット

中古車販売店として独立することは様々なメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。

独立開業には資金が必要

中古車販売店として独立するには、店舗の賃料や人件費、車両仕入れなどに必要な資金を用意する必要があります。

一般的に開業資金はどの業種でも必要になりますが、中古車販売の場合、商品として取り扱う中古車の単価が高いため、特に商品仕入に必要な資金の負担は大きくなります。

自己資金だけでなく、融資を利用する必要も出てきます。

業界知識と経験が必要

中古車販売は、車に関する深い知識と経験が必要な業界です。

独立するために必要な資格は多くないものの、中古車の査定や整備、販売、顧客対応など、様々な業務をこなすため、専門的な知識や経験が求められます。

損失のリスクを背負う

中古車の相場は常に変動しているため、商品価値が急激に低下することがあります。

商品在庫が多いと、中古車相場が下振れするとそれだけ損失を被るリスクも大きくなります。

また、販売後にトラブルが発生する可能性もあります。

中古車販売店は、車に関する瑕疵担保責任を負うため、リスクを常に意識する必要があります。

中古車販売店として独立するときの注意点

中古車販売店は、必要な資格は多くないことから独立開業がしやすい業種と言えますが、決して簡単ではありません。
しっかりと準備をしたうえで、次の点にも注意が必要です。

必要な許可の取得

先ほど紹介した通り、中古車販売店を開業するには、古物商許可とリサイクル法引取業登録をしておく必要があります。

特に古物商許可は、中古車を売買するためには必ず必要な許可で、違反すると罰せられる可能性があります。

自動車保険やオートローンの代理店登録

必要な資格の取得以外でも、中古車販売に関連するサービスとして、自動車保険やオートローンを取り扱うための代理店登録は開業前に準備をしておく必要があります。

それぞれ代理店としての委託契約を締結することになりますが、特に自動車保険を取り扱う場合は、募集人資格の試験に合格しないと、保険商品を販売することができません。

資金調達

中古車販売店を開業するには一定の資金が必要です。

店舗の賃料や内装費、車両仕入費用、人件費など、さまざまな費用がかかります。

初期費用以外に、毎月かかる運営資金も用意しておく必要がありますので、自己資金で賄うことが難しい場合は、金融機関からの融資のほか、各都道府県や自治体が提供している融資制度なども調べておいた方がよいでしょう。

仕入れルートの確保

中古車販売店にとって、中古車の仕入れは最も重要な業務のひとつです。

中古車の仕入れには、オートオークションや業者間取引など、さまざまな方法がありますが、近年はオートオークションの仕入れが主流になっています。

ただ、オートオークションは会員制になっていて、補償金や一定の資格条件が必要な場合もありますので、オートオークション会場ごとに入会条件を調べておくことをおすすめします。

メンテナンス体制の確保

中古車販売には、メンテナンス体制の確保も欠かせません。

中古車を商品化するためのメンテナンスのほか、販売後の納車整備やアフターサービスに対応する必要があります。

自分自身で自動車整備の資格を取得する必要はありませんが、認証工場以上の自動車整備工場に整備を依頼できる環境を準備する必要があります。

中古車販売店の独立で成功するポイント

中古車販売店の独立で注意する点をご紹介しましたが、ひと通り独立の準備をしてお店を開業しても、そこから実際に事業を軌道に乗せて成功させるためには、さらに努力が必要になります。

そこで、今度は中古車販売店の独立を成功させるためにどのような取り組みが必要か、という点についていくつかポイントをご紹介します。

マーケティング(ターゲット層の絞り込み)

中古車販売店に限らず、お店を成功させるためには、ユーザーニーズの把握と市場調査といったマーケティングが欠かせません。

まずはお店を出す地域の需要を調査し、ターゲットになるユーザー層が求めている車種や価格帯を把握します。

ターゲット層に合致する商品と販売価格帯が明確になったら、次は販売戦略を組み立てます。

広告展開や販促活動を計画的に行い、自社の集客方法を確立していきます。

競合他社との差別化を図る

市場調査と合わせて、周辺の競合他社の調査も欠かさず行う必要があります。

中古車販売店は比較的独立起業がしやすい業種である一方で、競合にとっても参入がしやすい業種です。

自動車は価格が高額で、ユーザーが一度購入するとしばらく買い替え需要は発生しにくい商品であることから、競合他社とターゲット層が重なってしまうと、非常に厳しい戦いを強いられることも考えらえます。

このような状態を避けるためにも、しっかり競合他社を分析したうえで、差別化を図ることが中古車販売店の独立を成功させるポイントのひとつになります。

顧客との信頼と満足度を高める

また、中古車販売店は顧客とのつながりが非常に重要です。

一般的なビジネスにおいてLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)という考え方が重要とされています。

自動車は購入後も車検やタイヤ、バッテリーなどの消耗品の交換といったメンテナンスが必要になるため、顧客との接点を増やす機会が多い商品と言えます。

中古車を売ることばかりに気を取られてしまい、顧客とのつながりをおろそかにしてしまうと、顧客がお店から離れてしまうので、自らビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。

アフターサービスを含めた対応をしっかり行うことが顧客との信頼と満足度を高めることになり、結果として長期的にお店が成功する大きな要素になります。

情報収集

この他にも、中古車販売店の独立を成功させるポイントとしては、情報収集を常に行うことが非常に重要になります。

中古車市場の動きは非常に早く、オートオークション相場も常に変動していることから、在庫車の相場が急に下落してしまう、ということも少なくありません。

この他にも様々な外的要因によって中古車の市場価格が大きく変動することもありますので、日々の情報収集は欠かせない業務の一つになります。

逆に情報収集活動を怠ってしまうと、損失リスクが拡大したり、大きなビジネスチャンスを逃してしまう可能性もあります。

同業者のつながりをつくる

このような情報収集活動を行う上で、同業者とのつながりをつくることはとても有効な手段です。

自分だけで行う情報収集には限界がありますので、例えばオートオークション会場などで同業者と接点を持つ機会を定期的につくると、自分では得られない情報も入手できる可能性があります。

同業者とのつながりをつくる、という点では全国的な組織に加盟することもひとつの方法です。

市場動向や中古車相場の情報もさることながら、全国から集まった同業者から成功事例や商売のヒントになる情報を得られることもありますので、特にこれから独立する方や、独立開業して経験の浅い方は、関連する事業の組織やグループに参加することをおすすめします。

まとめ

中古車販売店の独立は、必要な資格が少ないことから比較的簡単に開業できる業種と言われています。

一方で、独立開業後にビジネスを成功させるためには、中古車に関する専門的な知識はもとより、市場調査や情報収集といったマーケティング活動を継続的に行う必要があるため、決して簡単な事業とは言えません。

グローバルクレストは、全国の中古車販売店が協力しあうことでALL-WINの関係になれるプラットフォームを構築している組織です。

中古車販売店の独立開業を検討している方や、開業後に事業をもっと成長させていきたいと思っている方に対して、様々なご支援を行っております。

中古車販売店の独立開業に関するご相談は、グローバルクレストまでお気軽にお問い合わせください。

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